2006-03-09

透明な瓶に手紙をつめて

秘密基地を作ることばかりを考えていた。子どもの頃の話ではなく今現在のことだ。
完璧に仕上げた自分の城を公開することを夢見ていた。夢見ている。
たくさんの離れ小島を作成した。隠しておいて発見されることを望んだ。

全ての人に忘れ去られたいと望みながら。全ての人の記憶の中に生き残ることを画策した。
すでに「ここのつ」の部屋を用意しながら同じテーマしか扱えない自分がいる。
それでも何かが足りないと考えていた。感じている。

この場所に秘密の基地を置くことは躊躇していた。


春三月二十二日を前に今この部屋を始動させようとしている。
今となっては二十二日時別な意味などない日に、なにがしかの形が出来上がっていることを願ってのことだ。

脚本を書き、小説を書き、思えばたったひとりの読者に評価されたいと思っていた。
そのことを今自分自身が認めなければならない。

        ここに第一のページを記す。2006年3月9日。   
          日本を遠く離れた大洋上の孤島にて  雪虫の伝説

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