2019-06-17

モンシロチョウがゆらゆらと通り過ぎた

あれから何度目だろう。きっとうちの庭にも蝶道の一筋が走っているのだ。あまり元気のいい羽ばたきではなかったけれども,「向こうとこちらを繋いでくれているのだよ」と遠い昔に話してくれた人のことを,その不確かな物語を思い出した。あの世とか,天国とか,私にはまったくわからない。パッションフルーツをたくさんたくさん食べた。今日一日の食事だ。パッションフルーツは懐かしい潮風の味がした。南の島の海岸の,暑くて,太陽がまぶしくて,私の少し苦手な風景の味がした。現実からほんの少しはみ出した,小さな小さな灰色のカケラの味がした。